皆さん、こんにちは!あるぷす薬局上島本店の薬剤師Mです。
この度、私は扁桃腺と口蓋垂(のどちんこ)の摘出術を受けてきました。
これから手術を考えている・悩んでいるという方々の参考になればと思い体験談を語っていきたいと思います。
【手術の経緯】
私は年に2-3回程度、軽微なもの(喉が痛くなる程度)から重症なもの(高熱が出る)まで扁桃炎によく掛かっています。特に今年は通常小児の感染症である溶連菌に感染し、さらにその治療薬であるペニシリン系抗生剤で薬疹が出たりとひどい目にあってしまいました。
それとは別に、常に日中極度の睡魔に襲われる、鼻での呼吸が困難である、夕方になると声が出しにくくなってくる、睡眠時の無呼吸が多いということもあり、とある耳鼻咽喉科クリニックへ受診をしました。
そこで医師に言われたのが、「扁桃腺が多きくなり過ぎて気道や鼻と喉の通り道を塞いでいる。このせいで慢性的に扁桃炎に掛かったり、睡眠時無呼吸症候群を引き起こしている可能性が高い。なるべく早く手術をした方がいいよ。」というものでした。
さっそく紹介状を書いてもらい、某医大病院へ受診をしました。
1回目の外来受診では、問診と診察で扁桃腺と口蓋垂(のどちんこ)が肥大化しているため睡眠時無呼吸症候群になっていること、慢性扁桃炎であるという診断が出たためそのまま手術日程が決められました。睡眠時無呼吸症候群併発のため口蓋垂も切除することになりました。
2回目の外来受診では、全身の検査を行い(病院に入ってから出るまでに3時間近く掛かりました(^^;)、睡眠時無呼吸症候群の重症度を知るための検査器具を持ち帰りました。
3回目の外来受診では、検査結果の確認、入院前手続きを行いました。※睡眠時無呼吸症候群は重症の診断でした。
ちなみに、扁桃腺は正しくは「口蓋扁桃」といい、口の中の両側にあります。通常は幼少期の免疫応答器官として活躍し成長とともに小さくなって役目を終えます。ところが大人になっても小さくならずに大きいままになってしまう場合があり、そうすると扁桃炎に掛かりやすくなってしまうということです。年に3-4回掛かる方は慢性扁桃炎と言います。
耳鼻咽喉科領域では、最も多い手術がこの「口蓋扁桃摘出術」です。通常はどの病院でも特に術式・予後に差異はないため、費用・立地・クリニカルパスの内容(各病院で決められた入院から退院までの一連の流れ)等を踏まえて決定されることが良いかもしれません。私の場合は、+αで口蓋垂摘出と軟口蓋形成手術を並行して行うため睡眠時無呼吸症候群治療に長けている医師を紹介していただきました。
【入院当日】
10:00までに受付を行い、病棟に案内されました。
初めての全身麻酔を伴う手術という不安や、丁度同時期に扁桃摘出術を終えた友人からの勧めもあり、個室で入院しました。これはその一室からの風景です。
トイレとシャワー室もあります
この日は、
- ・病棟看護師や事務員から入院中の生活についての案内
- ・主治医や助手をする医師の方々からの挨拶
- ・薬剤師との面談(持参薬や副作用・アレルギー歴のチェック)
- ・麻酔科医による診察(歯科麻酔で毎回具合が悪くなるため、かなり慎重に問診してくれました)
等々、意外と忙しくしてました。昼と夕食は通常の病院食が出ましたが、結構おいしく頂きました!
写真はこれが最後の普通食(笑) この後3週間は、柔らかく刺激のないものしか食べられなくなります。。。
【手術当日】
手術当日は、
- ・0時から終日絶食 (前日23:30頃のギリギリまで煎餅などの固いものを食べてました!笑)
- ・AM9:00からは飲水も禁止 (8:50くらいのギリギリまで水分補給してました!)
その後は、オペ着を着て待機。
※私は、自前の下着を履いたままでしたが、病院によっては尿管カテーテルを入れるためオムツに履き替えるところもあるようです。今回、麻酔時間が2時間と短いため、基本的には何もなければ尿カテは無いとのことです。
13:00手術開始の予定が、延長しており15:30頃に手術室に呼び出されました。
メガネも外して見えない中、歩いて行きましたが、手術室に入った瞬間特有のアルコールの匂いが充満しており、さらにドラマでもよく見るような照明・手術台を目の当たり(ほぼ見えてはいませんが)にし一気に緊張(笑)。6名ほどスタッフがいたように思われます。また、室内は米津玄師さんの歌が流れてリラックスした雰囲気でした(笑)
手術室担当看護師(オペ看)と麻酔科医からの挨拶があり、手術台に上がります。
手が冷えているようで、ルート(点滴等を入れて全身の循環状態を管理するため抹消部に針を刺すこと)確保に少々苦戦してましたが、極太の針に変えることで確保できたようです。(結構痛かったです。。笑)
オペ看と麻酔科医の「血圧141/75、脈89、サチュレーション99で安定しています」というやり取りを聞いていると、「今から痛み止め入れていきますね~」と点滴開始。
酸素マスクを装着して「3回深呼吸してくださいね~」と、徐々に緊張がピークに!
そしてあの言葉「今から麻酔入れていきますね~」 心の中で、「1、2、3、4、5、6………….」麻酔ってすごいですね。100回戦っても100回とも負ける自信があります(笑)
気付くと、夢の中。 「..さーん!〇〇さーん!〇〇さーん!!」突然現実に戻ります!
意識が戻ったときは、これまで通りの呼吸ができない苦しさ(口腔内手術のため粘度の高い粘液が出てのどに詰まった感じがする)、声は出ない(気管挿管による声帯への影響、そもそもの手術のため)、全身麻酔による悪寒で手足の痙攣に近い激しい振るえなどによりパニック状態になりました。その後、安定してから病室に。戻った時間は18:30頃でした。
この日は22時頃に、酸素マスクが外れ看護師同伴でトイレのために起き上がりました。以降、いつでもトイレのための移動は自由に。これが自力でできないと尿カテになります(笑)
この日は痛みと、手術に伴う倦怠感、呼吸苦によりほぼ寝れずに一夜を明かしました。逐一容態を確認しに来る看護師さん達の働きを実際に感じると、同じ医療人として改めて尊敬する限りでした。
【手術2日目】
この日の朝から食事が再開。
すべて液体です(笑) 痛みが激しくて全く飲み込めず。特にストローを使って飲むことはこの後1週間は難しかったです。食後からは鎮痛剤(セレコックス)内服開始。
同様の流動食を昼・夜も出されましたが、鎮痛効果が出ているのか朝よりは飲み込めました。持続点滴のせいか、排尿回数はいつも以上にありました。
ふと気付くと、鼻呼吸が非常にスムーズでした。これまでは、肥大化した扁桃のせいで鼻での息が非常にしずらくなっていたことを改めて実感しました。また、声はまだ一切出ないので筆談で会話してました。
【手術3日目】
喉の違和感、痛みで寝れず朝5:30には目が覚めていました。
食事は前日よりも少しだけ固形に。3分粥・3分菜食です。
この日の22:30に点滴が終了し、シャワーがそれ以降解禁になるのですが、我慢できず洗面で顔と頭を1回洗いスッキリさせました!(まさか3日間も入浴出来なくなることは思ってなかったため事前に知りたかったですね)
【手術4日目】
3日目の朝よりも痛みが強く、6:30には起床。すぐに鎮痛剤を飲んだものの朝食はやはり悶絶。
口腔内の状態自体は良いようで、「このままいけば予定通り月曜に退院できるよ」とのことでした。
朝食後はさっそくシャワーへ!お風呂に入れるというだけでも非常にありがたいことだったのだと改めて実感。
【手術5日目】
朝の痛みで6:50頃に起床。この日から5分粥・5分菜食スタート!
朝ご飯は案の定ほとんど喉を通りません。それ以外は割と食べれました。写真は夕飯です。
なお、声が少しだけ出るようになり、舌も徐々に動くようになってきました。
【手術6日目】
朝は痛くて起きることはなくなりました。しかし、痛みで朝ご飯は引き続き食べれません!!
小声での会話が可能になりました。
この日、術後食べることを禁止されているケーキの差し入れをこっそり食べたことは主治医に内緒にしています(笑)
【手術7日目】
患部の経過もよく無事退院が認められました。
朝の痛みも数日前よりは随分とマシになりました。
なお、この日から10分粥に!!この1週間で飲食できるものが劇的に変わりましたね(笑)
【その後の経過】
退院から3日目に仕事復帰しました。声は相変わらず上手く出せないのと、喉の痛みがあるため投薬業務はできません。昼・夕食は比較的強度を上げていますが、朝はプリンやヨーグルトといった柔らかいもので過ごしています。
結局、術前のような声に戻るまでは手術をしてから2週間程度掛かりました。食事は医師の指示を守り、術後3週間で制限解除しました。
睡眠時無呼吸症候群は、重症(私の場合は1時間平均48回呼吸停止)⇒ 正常(1時間平均4回呼吸停止)
になり、日中の倦怠感や疲労感、極度の睡魔からも解放され非常に生活の質(QOL)が高まったことを実感しています。
少しの期間非常に苦しく、また職場や家族の助けを受けなければなりませんが、手術をしての後悔はありません。私のこの経験が、慢性扁桃炎や睡眠時無呼吸症候群で苦しんでいる方々の参考になればと思います。
【最後に】
用意しておくと助かったものリストを挙げておきます!
- ・限度額適用認定証
- ・生命保険(入院保険が適用されると思います)
- ・読書本(日中の暇つぶしになります)
- ・BOXティッシュ(唾液が飲み込めないため、術後数日間は頻回に吐き出します)
- ・スリッパ(病室内でシューズを履くのが面倒だったので)
- ・「ごはんですよ」等のごはんのお供(お粥の味を紛らわすのに必須でした)
- ・筆談用のアイテム(紙とペンでなくても、LINEとかでも良いと思います)
- ・お茶や経口補水液(術後は自由に動けないこともあるため、手の届く場所にストックしておくことを奨めます)
- ・バスタオル(シーツは毎日交換ではなく、術後は口内の浸出液が溢れてきます。入浴用と別に、枕付近のカバー用にあると便利)
- ・お薬手帳と持参薬(忘れると常用中の薬も入院費用に計上されます)
- ・「らくらく服薬ゼリー」等の服薬補助ゼリー(術後しばらくは水で錠剤を飲むのに苦労しますが、専用の服薬補助ゼリーは非常に飲みやすく助かります)
- ・マスク(感染対策だけではなく、喉の保湿になります)
- ・他、着替えやスマホ等の充電器、イヤホン、歯磨きセット、ドライヤー、カミソリ、コスメ用品等 通常の旅行でも必要なもの